平成20年4月1日現在
宝恷s障害者自立生活支援センター事業の概要
社会福祉法人
宝塚市社会福祉協議会
宝塚市障害者自立生活支援センター
1.宝塚市障害者地域生活支援事業実施までの経緯
地域の障害者の間から自立生活センターの設立を望む声があがり、市内の各障害者団体、障害者の父母の会および支援団体により、宝塚市障害者自立生活支援センターの設立準備委員会が発足しました。約1年半を費やし学習会や意見交換会を重ねた結果、自立センターの業務運営案を元に宝塚市が兵庫県に実施計画を提出し採択されました。平成10年10月、社会福祉協議会に事業委託されることになりました。また障害がある方の声を反映するために委員会を設置しました。運営委員長は障害者、運営委員会の過半数は障害者であることが、運営要綱に明記されています。 平成18年4月より「障害者自立支援法」の施行に合わせ兵庫県の指定を受け、また、宝塚市の委託を継続して受けて現在相談業務を実施しています。
2.宝塚市障害者自立生活支援センターの実施体制
@実施主体
宝塚市
A運営
社会福祉法人 宝塚市社会福祉協議会に運営委託
平成10年10月1日開始
・平成18年度より「障害者自立支援法」に合わせ、地域活動支援センターも設置しています。
(総合福祉センター3階)
B職員体制
○社協職員
相談支援専門員2名(車椅子利用者1名・社会福祉士および精神保健福祉士1名)
相談部門契約職員3名(社会福祉士2名、精神保健福祉士1名)
地域活動支援センター契約職員
○その他
ピア・カウンセラー21名(障害別登録、予約制)
C行政との連携
運営委員会に市福祉推進室、宝恁注N福祉事務所がオブザーバーとして参加している。
在宅介護支援センター、市健康センター、児童相談所、市教育総合センター
訪問看護ステーション、市療育センター、ショートステイ対応施設、市立病院などと連携を取っている。また、市障害福祉課、住宅課、生活援護課、年金課、介護保険課、保険医療課、児童福祉課、教育委員会、生活復興委員(震災)などとも必要に応じて連携を取っている。
その他、ボランティアセンター、各障害者団体、民生委員などの協力も得ている。
3.相談内容 (別添 資料 <平成14年度相談集計表>)
@在宅サービスの利用について
A社会資源の活用について
B社会生活力を高めることについて
C当事者相談の状況
・自立生活がしたい
・夫婦関係について(離婚の相談など)
・介護者への不満
・社会復帰について
・障害をもったことによる社会への不満
・障害をもってどうやって生きてゆけばよいか
・介護疲れについて(介護者より)
・ターミナルケアについて(介護者より)
・障害をもった子をどのように受け入れればよいか(親より)
・障害をもった子を理解してもらえないことへの不満(親より)
・経済的なこと(負債や自己破産や悪徳商法など)
・中途障害や難病で入院しているが退院後の自宅での生活について
・就労のための職業訓練 /など
4.支援の内容
@在宅サービスの利用援助
・ホームヘルプ,ガイドヘルプサービスの利用援助
・全身性障害者介護人派遣制度の利用援助(介護人の紹介)
・住宅改修、改造の相談
・日常生活用具の給付申請援助
・福祉機器の貸し出し手続き援助
・訪問入浴,移動入浴の紹介
・手話通訳,要約筆記の紹介
・手帳申請の援助
・障害年金の申請の利用援助
・生活保護申請の助言
・介護保険の利用援助
・障害児の就学に関する相談
・障害児の学童保育に関する相談
・障害児の保育に関する相談
・ショートステイの利用援助 /など
A社会資源を活用するための支援
・県営住宅,市営住宅の申請援助
・外出介助,障害児の見守り,大工仕事などのボランティア紹介
・移送サービスの紹介
・制度外のホームヘルプサービスの紹介
・車椅子,盲導犬,介助犬同伴で利用できる交通機関,宿泊施設,店舗などの紹介
・職業訓練校,能力開発校の紹介
・障害者対応の各種学校,大学の紹介
・作業所,授産施設などの福祉就労の紹介
・障害者スポーツ,レジャーの紹介および企画
・セルフサポートグループの紹介
・各種医療機関についての情報提供
・情報機器の利用援助
・法律相談の紹介 /など
B自立生活プログラム
介護が必要な重度身体障害者を対象に生活場面の演習として買いもの、
意志表示の仕方・介助者の使い方・外出移動の方法・調理の実習・電車の乗降方法・金銭出納・時間管理・介助者依頼の仕方などを体験するもの
『介護者との付き合い方(パーティを開こう)』
『自立生活を実現するために(制度や福祉サービスについて)』
などを実施している。
平成16年度からは当事者の主体性を重視し、グループワーク形式で自立生活について話し合いながら実生活に沿った演習や勉強会等を行なっている。
Cピア・カウンセリング連絡会
ピア・カウンセラーの研修として、「ピア・カウンセリング集中講座」を2回実施した。
相談援助技術向上のための研修も行なってきたが、今後は連絡会としてピア・カウンセラー同士で当事者による支援について議論しながらピアサポート体制の充実を図っていく。
D精神障害者グループワーク
セルフヘルプグループの形成と居場所作りを目的とし、保健所横のよりあい広場を拠点に月2回、調理実習や余暇活動を行なっている。
E趣味講座開催
余暇活動を通じて社会生活力を高めることを目的とし、総合福祉センター2Fの障害者福祉センターフリースペースでステンシルや英会話などの講座を実施している。
F啓発活動
職員やピア・カウンセラーによる学校での講演や、民生委員の勉強会等への参加などを行なっている。市民向けの講演会や制度説明会なども市と共催で実施している。
Gその他
障害者福祉センター利用者会議設置・運営支援
支援費事業所ヘルパー研修協力
精神障害者ホームヘルパー養成研修協力など
5.事業を通して、主にどのようなニーズを地域の障害者が持っていると考えられるか
<障害当事者>
・外出がしたい,通院したいが介助者がいない
(介助なしには外出できない障害者でガイドヘルパー利用対象とならない人)
(吸引など常に医療行為の必要な障害者)
・車椅子で生活できる住宅を見つけたい
・障害や難病になり仕事ができなくなり生活が苦しい。収入の方法を考えたい
・難病で重度障害になったが、子育てをしながら在宅で暮らしたい
・夫婦とも精神に障害があるが地域で暮らしたい
・親元を離れて自立して暮らしたい
・施設を出て自立したい
・親が高齢になって介護が困難になったが、このまま地域で暮らしたい
・事故で重度障害になり入院しているが退院後自宅で生活したい
・聴覚や視覚に障害をもったためリストラされた。もう一度働きたい
・自分自身が障害を持っているのに夫から暴力を受けている。離婚したい
・結婚したい,結婚相手をみつけたい
・社会参加の場がほしい
・旅行やレジャーを楽しみたい
・同じ障害を持った人と話したい
・書類や本の代読,代筆をしてほしい /など
<障害者の家族>
・家庭内に複数の要介護者(夫と子ども、親と夫、妻と娘など)がいて一人で介護するのが困難
・医療的ケアが必要であるため24時間介護しなければならず、家をあけることができない
・重介護のため被介護者につらくあたってしまう
・障害児がいるが働きたい
・学校が休みのときの介護が大変、援助がほしい
・子どもに障害があるが地域の学校に通わせたい
・障害の子どもが亡くなり気持ちが落ち込んでいる、話を聞いてほしい
・障害の子どもがいじめにあっている
・障害の子どもを連れて離婚したい
・同じ障害を持った子の親と話がしたい /など
6.その他、市町村障害者生活支援事業の実施について気づいた点
@まず地域の障害者のニーズを把握しなければならない
はじめは主訴や相談が1つのように見えても実際にはさまざまな問題が複雑に絡み合っていることが多く、ひとつひとつの問題を明確化し、地域の資源に結び付けていかねばならない。
A相談は必ずしも身体障害者本人や家族からとは限らず、知的障害者、精神障害者、難病患者およびその家族、また心理相談、引きこもりについての相談など多岐にわたっており、関係各機関との連携が必要とされる。
B重度障害者が地域で自立して生活するには各種のサービス、制度が必要なだけでなく、ピア・カウンセリングが有効である。
C相談、ピア・カウンセリング、自立生活プログラムのどれをとっても障害当事者のエンパワメントを目標に置く必要がある。
D相談者にはできるだけ的確な情報を速やかに提供し、自己決定につなぐとともに
問題解決までともに歩まねばならない。
|